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PRO BONO

BIG ISSUE配布風景

事例2:BIG ISSUE JAPAN

1ホームレス問題の解決に挑戦!

ホームレス人数推移グラフ
今年のテーマはホームレス問題。チームメンバー全員がそれぞれお手伝いしたいボランティア団体様を調べ、直接訪問し、全員の話し合いと投票で決定しました。日本のホームレス人口は年々減少しています。これはとても良いことです。しかし、2017年時点で依然5,000人以上のホームレス状態の方がおられますし、今回お手伝いさせて頂いた有限会社ビッグイシュー日本様(以下、ビッグイシュー様)の報告では30・40代の若い方が増えているとのこと。微力ながらお手伝いしたいというメンバー全員の思いからプロジェクトがスタートしました。

2ビッグイシュー様の悩み

BIG ISSUE JAPAN表紙
ビッグイシュー日本ホームページ
ビッグイシュー様の支援の仕組みはホームレス状態の方が1冊350円の雑誌「ビッグイシュ-」を販売することで180円が自らの収入となり、生計を立てながら自立を目指す、というものです。つまり、救済(チャリティ)ではなく、“仕事を提供し自立を応援する社会事業”という位置付けなのです。しかし、1人あたりの販売部数は変わらないものの、販売者であるホームレス状態の方が減少しているため売上低迷に陥っていました。これが大きな悩みでした。ホームレス状態の方が少なくなったとは言え、事業が立ち行かなくなると困る方がまだまだ大勢いらっしゃるのです。

3私たちが支援したこと

その1. 現状把握調査①:インターネット調査(全国、20代以上の男女、n=1,993ss)

売上減少の原因が販売者数の減少である以上、取れる対策が限られてきます。そこで私たちはこのプロジェクトの目的を「販売者1人あたりの売上を伸ばす」ことと設定しました。そしてまず第1ステップとして現状把握の調査を行い、「ターゲットの設定(1、2)」と「価値の整理(3)」を目指しました。

具体的には

  • 1.現在購入中で今後も購入したい人はどのくらいいるのか?
  • 2.現在は購入していないorこれまで購入したことはないが、キッカケがあれば今後購入したい人はどのくらいいるのか?
  • 3.それぞれの理由は何か?

を明確にすることです。その結果は下図の通りとなりました。

現状把握調査

その2. 現状把握調査②:現場観察調査(表参道駅・恵比寿駅・市ヶ谷駅・新橋駅)

次に、私たちは販売現場に行きました。現場を観察すること(ビッグイシュー様は道端留学と呼んでいます。素晴らしいネーミングですね)はデザイン思考の「発見」において非常に大切な手法です。販売者や購入者、あるいは買わない人たちの様子をじっくり観察することでインターネット調査では見えない「新しい問題」を発見することができます。 ここでわかったことは「想像以上に売場が目立たないため足を止める人が少ない」ことと「少数ではあるが数冊まとめて買うファンの人たちが存在する」という2点でした。思ったとおり、この発見は後の戦略構築に大きく関わる重要なファインディングスとなりました。

  • 現状把握調査
  • 現状把握調査

その3. ワークショップ

ワークショップ
今回の2つの調査結果を受けて、ビッグイシュー様と一緒にワークショップを行いました。目的は「ターゲットをどこにするか?何を伝えるか?」といったマーケティング戦略の格子を決めることです。2チームに分かれて実施し、それぞれ出し合ったアウトプットを発表、その後、全員で協議しながら決定する、といった流れです。ワークショップは1日がかりで行いましたのでとても大変でしたが、プラグの得意とするサービスなので、みんな真剣に、そして楽しみながら進めていくことができました。

その4. マーケティング戦略の構築

ワークショップの結果、「買ったことはないが、キッカケがあれば買ってみたいと思っている人(ポテンシャル層)」をターゲットにすることになりました。規模も大きいですし、これまで買ったことがない人たちですから、もし買ってくれれば販売員1人あたりの売上は伸びるからです。また、ポテンシャル層の購入意欲理由である「気軽な社会貢献」や「ビッグイシューの仕組みの応援」をしっかり伝えていくことになりました。 これでマーケティング戦略の枠組みはできたのですが、大きな問題が残りました。通常のビジネス同様「買ったことがない人たちに買ってもらう」のは至難の業です。“キッカケ”があれば買ってみたい。では、そのキッカケをどう作るのか?私たちは観察調査で得た「少数ではあるが数冊まとめて買うファンの人たちが存在する」に注目しました。つまり、買った人たちに読み終わったら友人・知人に渡してもらおう、ビッグイシューの輪を広げてもらおう、と考えたわけです。いわゆる「アンバサダー制度」の考え方ですね。

枠組み

枠組み

その5. クリエイティブの制作

今回、クリエイティブは3種類制作しました。

1. アンバサダーツール: ビッグイシューの輪を広げてもらうために読後にメッセージを書いて、友人・知人などに渡してもらうためのものです。雑誌に貼れる簡便なシールタイプにすることでハードルを下げ、気軽に楽しんでできるということを狙いとしました。

  • 現状把握調査
  • 現状把握調査

2.販売場所を目立たせる:販売場所がひと目でわかることを目的としたPOPです。販売者の方は、雑誌を手にアピールしています。その雑誌に「販売中」という文字が、より高い位置にはみ出るように挟んでもらうタイプのもの(①)と、店頭に置いてアピールするもの(②)を用意しました。※②の中が空白のものは販売者の方がメッセージを書き込めるように工夫したものです。

  • POP1
  • POP2
  • POP3

3.チラシ・ポスター:ビッグイシュー様の講演やイベント等で配布するチラシ。ビッグイシューの仕組みや、ホームレス状態の人たちがビッグイシューを通して再び社会と繋がる様子を親しみやすいイラストで表現しました。

  • チラシ表
  • チラシ裏

その6.映像の制作

さらに、より多くの人に「ビッグイシューのビジネスの仕組みや実績」を知ってもらうために、映像を制作することにしました。「気軽に参加できる社会貢献」をコンセプトに、どのような仕組みでホームレス状態の方の自立支援を行っているのか、わずか350円に過ぎない雑誌がどのくらい販売されてきたのか、かわいらしいイラストと動きにすることで、みんなの小さな一歩が多くの方を助けることに繋がることを伝えています。

その7.ビッグイシュー様の製作日誌

ホームページでは伝えきれない今回のプロボノプロジェクトの全貌をビッグシュー様が製作日誌という形でまとめておられます。ご興味のある方は、こちらも一読ください。

制作日誌

4ビッグイシュー様からの感謝の手紙

ビッグイシュー代表佐野さんより大変温かい手紙を頂きました(下記は一部抜粋した内容です)。

このたびは、プラグ社の社会貢献事業としてのホームレス状態支援のビッグイシュー事業への応援を選んでくださり、調査にとどまらず販売冊数増のためのペーパーによるビジュアル表現、さらに動画の制作まで、本当に行き届いた提案をいただき感謝のことばもないほどありがたく思っています。ありがとうございました。

また、常時、10人近い若いスタッフの皆さんが会議に出席し、ともに議論をリードしてくださるだけでなく、路上から定例サロン、パーティなどへの出席まで現場にも深くかかわっていただきました。このようなかかわりを可能にするプラグ社の社会的なミッションの高さ、素晴らしさ、また組織の持つゆとりとパワーに感銘を受けました。

初めて、お会いしたとき、なぜホームレス状態支援のビッグイシューを応援してくれるのかをお聞きすると、若い新入社員が社会とつながり、仕事のやりがいを持てるようになるため、つまり自分たちのためなんです、というお言葉がありました。

貴社スタッフのお力添えに、どれだけ応えられるのか、いまからは私たちが問われます。年末、年度末の繁忙期をまたがって、お力を出し授けていただいこと、心より感謝します。

(有)ビッグイシュー日本 佐野章二

5終わりに

集合写真
約半年にわたってビッグシュー様の活動を私たちなりの形で支援させていただきました。ホームレス状態の方の自立支援の仕組み、ホームレス状態の方の減少に伴う販売部数の減少。この問題に、私たちは大規模なインターネット調査や観察調査からマーケティング戦略を構築し、アンバサダーで応援の輪を広げる、販売場所を目立たせる、チラシや映像でビッグイシューの仕組みの理解を拡大させる、といった多くのクリエイティブの制作に取り組みました。今年、ビッグイシュー様は活動を始めて15年になります。日本では通用しないと言われたこのモデルを15年もやり続けてきたことに本当に頭が下がる思いです。ぜひ、微力ではありますが、今回のプロジェクトが少しでも役に立って欲しいと願っています。
プラグは今後もプロボノを通じて、より良い社会創りに貢献できるよう鋭意努力してまいります。